不幸王子gatsbyさん、黒歴史を語る。 ⑮ 真実の先にあるもの。 ファントムになるgatsby君。
こんにちは、gatsbyです! (>_<)
やっと写真の犯人編まできました。A子の事を書きすぎて、全然進みませんでしたけ
ど、やっとです。ちょっと長いですが、読んでくれると嬉しいです。
↓ 投資の話に興味がある方はこちらも読んでね?
「ふぅ。」
私は缶コーヒーを片手にコンビニの入り口が見える位置に立っていました。
時計は夜の十時を回っていました。
「彼女、きっと後悔している。」
A子は私にそう言いました。
A子が私の情報を集めていた段階で、写真の事件も知り、その同時期に学校に出てこ
なかった子がいた、と話してくれました。
そしてその子は、A子の探りに分かり易いぐらい顔を青くして反応した、とも付け
加えました。
私はその子を知っていました。N美という、ちょっと内気な子でした。
以前にも何度か悩み相談を受けた事がありました。
「う~ん。彼女、今は学校に来ているの?」
「それがね、まだ休んでいるみたい。」
そういえば、最近、同じ女子のグループにも姿を見ていない気がしました。
「了解。ありがとう。後は何とかする。」
「また、助けるの?」
「うん? ああ。きっと彼女、取った事で悩んでると思う。」
「そのgatsby君の無償の優しさは罪だよ?」
「それが罪なら、オレは幾らでも罪名を被るよ。それにー」
私はA子に向き直りました。
「その子達がそれで救われるなら、それがオレの免罪符になるし、ね?」
「ばか、女たらし!」
「お褒めにあずかり光栄です、お嬢様?」
私は少しおどけた後で、A子に礼をいうと教室を出ようとしました。
その刹那、袖を引かれました。
「あまり……その、ね?」
彼女は袖を掴んだまま、顔を赤くしています。
「ふふ、ヤキモチですか? お嬢様?」
「…………悪い?」
「いえ、結構ですよ。では、行ってきまー」
その刹那、彼女は私の首に抱きつき、頬にキスをしました。
「上手くいきますように。それと、変なことしたら許さないんだから、ね?」
「それは了解しました。でも本当にお嬢様は、おイタが過ぎますよ?」
「じゃぁ、お仕置きを待ってるね?」
「もう、お嬢様には勝てないですね。では、行ってきます。」
私は今度こそオーバーな程に仰々しく礼をつくして、教室を後にしました。
N美がコンビニのバイトを終えて、店から出てきました。
「おひさしぶり♬」
私は彼女を驚かせないように、そっと話しかけました。
暗がりから出てきた私を見るなり、彼女は硬直しました。
「N美さん、ちょっとお願いがあるんだけど、いい?」
「…………私に?」
警戒する彼女に、私は満面の笑みを作り、頷きました。
私と彼女は、コンビニ近くの公園に移動していました。
「ブランコだ、懐かしい!」
街灯に照らされる二つ並んだブランコに私は座り、彼女にも勧めました。
「ふふふ、何年ぶりだろ!」
私は下を向いて隣のブランコに座っている彼女を横目に、はしゃいでいました。
「らしくないですよ、gatsbyさん。私に用事があるんでしょ?」
「うん!」
私はブランコの速度を落としました。
「N美さん、最近、学校に来ていないでしょ?」
「……。」
「どうして? 誰かとまた上手くいかなくなった?」
彼女は首を横に振りました。
以前に受けた相談は、友達と上手くいかなくて学校に行きたくない、という内容でし
た。
「ほっておいて……。」
「う~ん、それがね~、ちょっとね~。」
「gatsby君には関係ないでしょ? 私が学校に行こうと休もうと。」
N美は俯いたまま、話しました。
「そうはいかないんだ。オレは身勝手でね。よっと。」
私はブランコから飛び降りると、うつむく彼女に目線を合わせるために彼女の前で
しゃがみました。
「自分の相談者が不幸になるのを見るのが嫌なんだ。それは相手のためじゃない。自
分の無力さを感じるのが嫌なんだ。だから、君には学校に来てもらわないと困る。これ
が、オレのお願い。」
「自分勝手だよ。」
「そう。元々、人間なんて自分勝手にできている。好きな人ができれば振り向いてほ
しいし、傍にいれないのならその人の物でも欲しくなる、だから人生は退屈しない。本
当にそう思うよ。」
彼女は一瞬、顔を上げました。目には涙を貯めていました。
「あたしの事なんて……ほっておいて……よ。お願い……お願いだから。」
「ダメだ!」
私は彼女の両腕を両手で掴みました。彼女は驚き、泣き顔のまま顔を上げました。
そして私はおもむろに立ち上がり、片手で自分の顔を覆い、それからゆっくりその手
外しました。
「おお、N美。私の顔は思いのほか醜いだろ。この禍々しき怪物は地獄の業火に焼か
れながらも天国へ憧れるー」
私は大きな身振りを返しながら、セリフを言い切りました。
「……オペラ座の怪人。」
↓ ファントムってこんな感じです。私が演じたのは、ファントムが誘拐した子に仮
面をとって素顔を見せるシーンです。
「流石、読書家のN美さん! わかっていらっしゃる!」
私は伊達メガネを指で押し上げ、言葉を続けました。
「オレは所詮、誰からも嫌われているファントムなんです。君が悲しむ事はない。」
「嫌われてるなんてー」
「だったら、それを証明してほしい。」
立ち上がった彼女の前で私は片膝をついて彼女の手を取りました。
「お嬢様、約束してください。ちゃんと学校にくるって。」
彼女は一瞬驚き、涙顔でクスクス笑い始めました。
「ふふ、もう! gatsby君ぐらいだよ平気でこんな事をするの。」
「おかげ様で、男子からは嫌われ、敵も多くて困ります🎶」
私は立ち上がると、一緒に笑いました。
そして彼女は再び口を開きかけると、同時に瞳から一粒の涙がこぼれ落ちました。
「うう……ごめん……なさ……い。」
私は泣き始めた彼女の髪をゆっくりと撫でました。
静かな夜、静かな公園。静寂がすべてでした。
彼女は私に話してくれました。相談をしているうちに私を好きになっていった事。だ
けどライバルが多すぎて、自分じゃ無理だと知った事。たまたま遊びに私の部屋に来
た時に、見た写真がどうしても欲しくて取ってしまった事。毎日罪悪感に襲われ、どう
していいか分からずに、家に閉じこもっていた事。
私はただ黙って彼女の告白を聞いていました。
「そっか、辛かったね。」
「…………ごめん……なさい。」
「もういいよ。そのかわりー」
私は彼女の頭をポンポンしてから、顎を指で持ち上げました。
「明日からはちゃんと学校にくるんですよ、お嬢様?」
彼女は私に抱き着くと、泣きながら頷きました……。
後日、無事に写真も返却され、彼女もいつも通りに学校に登校するようになりまし
た。そして、この件は解決できました。
まぁ、でもその後にまた
写真は盗まれるんですけどね!! ( ゚Д゚)
次回、
お楽しみに!!
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今日の一冊
今日のおすすめは、映画やドラマにもなった漫画です。何となく大学時代の自分の事
のようで面白かったです。突然、モテ始める人生に主人公はどう翻弄されていくか読み
ごたえがあります。
あらすじ
三十路間近のモテない草食系バカ男の派遣社員・藤本幸世は、ある日突然知り合いの女の子から次々と連絡が入り、いわゆる「モテ期」が始まる。これまでモテ期の来なかった藤本は、焦りながらも女の子とコンサートに行ったり水族館に行ったりと、無我夢中でデートやイベントをこなしていくが……。